本文へスキップ

三木町希少糖研究研修センター

〒761-0615 香川県木田郡三木町大字小蓑1351-2

Matsutani Chemical Industry Co.,Ltd. Izumoring Lab.

このように生まれたHISTORY

Izumoring-pad は希少糖:単糖の構造を教える時に使用する教材である。
これは希少糖甲子園等で高校生へ Izumoring の説明のため、希少糖:単糖の構造を教える時に思いついた。
 糖の数があまりに多くその構造を体系的に教えることに、大いに困った。
その数は六炭糖では24種類であり、比較しながら確実に構造を教える必要がある。教科書にある羅列的な表現方法は形式的であり、単糖相互の関係もなく、動きも無い。第一に魅力が感じられない。
ではどのように単糖の構造を表現すべきか。そんな時に発想が浮かんだ。
原理は簡単である。単糖の炭素に結合している HO と H を手で移動させることで
逆転させるトリックを使うのだ。
 「OH のバーをひょいと動かすだけ」で、単糖が「一瞬のうちに変身する」。
この動きを見ることで、何だか分かったような気持になる。
「D−グルコースが一瞬のうちにD−マンノースや希少糖のD−アロースへ変身する」のである。この動きからD−グルコースとD−マンノース、D−アロースは、構造としては近い仲間だと OH を動かす指と、その動きを見る眼が教えてくれるのであろう。
 このトリック的教材は、受講している高校生達はもとより、どうも高校の先生方に好評であったらしい。これを用いることで色々の単糖の種類を簡単に教えることができる、と思われたのかもしれない。
 Izumoring-pad は教材として有効であることは分かったのであるが、これを多くの人へ配布できるような教材にまで熟成するのに、また相当の時間が経過した。そして、現在の形にまでIzumoring-pad を熟成できたのは、これも希少糖甲子園や小中学生への希少糖を教える時に浮かんだ発想からだ。
それは、小中高の生徒への講義で、マッチでロウソクに火をつけることを実験させた時、マッチを上手に使えない人がいた。それを見て「これだ」とひらめいた。Izumoring-pad を「自分で作らせればいい!」。それまでは手作りのモデルを渡していたため、担当者が苦労して限定した個数を配布していたのだ。
その「自分で作らせる」という発想を教えてくれたのも教育の現場であった。
自分で作った教材を使うことで、愛着も湧くだろう。
カッターで指に少し位怪我をしてもいい、工作に失敗するのもいい。
マッチでロウソクに火を灯せない生徒達が象徴しているように、教材は作られたものを与えられているのではないか。Izumoring-padは自分で作った教材とするべきだ。その方向へ開発が進んだ。
 具体的な開発内容はここでは省略するが、このような経緯を経てIzumoring-pad は開発され大量に配布できるまで一応「熟成」された教材の形となった。SSH 担当官である JST の橋爪先生は「これが私が教える時にあったら、もっと楽に楽しく単糖を教えられたのに」とお世辞を言われながら励ましてくださった。しかも、幸運にもこの教材を香川大学が無料配布するという決断をしたのである。

(* Izumoringは全希少糖を酵素反応等を用いて体系的に合成する設計図。)